
節税対策を考える法人様必見!減価償却や利回り社宅や保養施設など活用術を㊙不動産のプロ「中島 崇」がご紹介します!
節税対策をお考えの法人様にとって、不動産投資は大きな魅力を持つ選択肢です。しかし、「本当に節税効果が得られるのか」「利回りを維持しつつ賢く経費を生み出せるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。本記事では、法人による投資用不動産の取得を通じた節税の基本から、減価償却や利回りを高める工夫、さらに役員社宅や保養施設としての有効活用まで、分かりやすく解説します。事例や注意点も交えて、実践的な内容を㊙不動産のプロ「中島 崇」が分かりやすくお届けしますので、ぜひ最後までご一読ください。
法人による投資用不動産の取得を通じた節税の基本構造
法人が投資用不動産を取得することによる節税の基本構造には、以下のようなポイントがあります。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| ① 経費計上できる範囲 | 取得費、借入利息、減価償却費などが経費になります。特に減価償却費は建物や附属設備に対して毎年計上できます(例:築20年の木造アパートを1,200万円で取得した場合、耐用年数4年で年300万円を経費計上)。 |
| ② 法人税率の優位性 | 個人の所得税は累進課税制で、課税所得900万円超では33%、それ以上では最大45%となります。一方、資本金1億円以下の法人では、課税所得800万円以下は15%、超過部分は23.2%と低く抑えられます。 |
| ③ 節税と収益性の両立 | 節税のみを目的に赤字物件を選ぶのではなく、家賃収入でローン返済と経費をまかなえる収益性の高い物件を選び、節税と利回りのバランスをとることが重要です。 |
これらの仕組みを理解することで、法人での投資用不動産取得が節税だけでなく、安定した収益性を確保するうえでも効果的な選択となります。
減価償却を活用した費用の最適化と利回り維持の工夫
減価償却を活用する際は、建物と附属設備を明確に区分することが重要です。建物本体は構造や用途により「木造22年」「鉄筋コンクリート47年」など法定耐用年数が定められています。一方、附属設備(照明・空調など)はおおむね15年で償却できる点で差があります。これにより、附属設備を分けて計上することで早期に減価償却を進められ、短期的な節税効果とキャッシュフロー改善が期待できます。例えば、RC造の物件で設備部分を分けると、当初数年間で大きな償却費を計上でき、手元資金を厚くできます。なお、建物附属設備については、法人が取得した平成28年4月1日以降の資産からは「定額法」による償却のみとなっておりますのでご注意ください。
| 項目 | 法定耐用年数 | 償却方法 |
|---|---|---|
| 建物(RC造) | 47年 | 定額法のみ |
| 建物附属設備 | 約15年(例) | 定額法のみ(平成28年4月以降) |
| 手元資金への影響 | 附属設備を分けることで初期年度の償却費増加・キャッシュ増 | |
また、修繕費や設備更新への投資も節税と利回り維持の両立に寄与します。必要な修繕を適時行うことで、長期的な運営コストを抑え、収益の安定化が図れます。同時に修繕費は経費として計上できるため、法人税の負担軽減に繋がります。
さらに、実際の利回りに影響を与える要素として、インボイス制度や融資金利への配慮も欠かせません。インボイス制度への対応が必要な場合、消費税仕入れ税額控除の適用要件を満たすことで税負担の軽減が可能です。また、融資金利の上昇は利回りを圧迫するため、金利条件の確認や複数の金融機関による交渉、返済スケジュールの見直しなどを通じて、資金コストを抑制する工夫が求められます。
役員社宅や保養施設としての活用による節税スキーム
法人名義で住宅を取得し、役員社宅や保養施設として利用することにより、法人の経費化や減価償却による節税効果が期待できます。借入金利息、取得にかかる諸費用(不動産取得税・登記料・印紙など)、固定資産税、修繕費などが法人の損金となります。また、減価償却費として建物の価値減少分を経費計上できます。こうした支出を法人の財務計画に組み入れることで、法人税の負担を軽減しつつ、実質的な所有負担を抑える効果があります(法人所有による経費化・減価償却)。
一方、賃貸料相当額の設定には注意が必要です。役員が法人に支払う家賃が「賃貸料相当額」に満たない場合、差額が給与として課税対象となります。賃貸料相当額の算定は住宅の規模によって異なります。以下の表は、主な区分と計算方法です。
| 住宅の区分 | 算定方法 | 留意点 |
|---|---|---|
| 小規模な住宅 | 建物の固定資産税課税標準額×0.2% + 12円×(床面積/3.3㎡) + 敷地の課税標準額×0.22% | 耐用年数30年以下132㎡以下、または超の場合99㎡以下 |
| 小規模でない住宅(自社所有) | (建物課税標準額×12%(耐用年数超は10%) + 敷地課税標準額×6%)÷12 | 耐用年数に応じた率で按分 |
| 小規模でない住宅(賃借) | 家主に支払う家賃の50%と、自社所有の算定額との大きい方 | 賃借の場合の比較が必要 |
上記の金額を役員が支払えば、給与課税は回避できます(賃貸料相当額の適正徴収)。
ただし、注意点もあります。まず、住宅ローン控除は個人が住宅を取得する場合に適用される制度であり、法人が取得した場合には適用できません。また、将来、会社から役員個人へ社宅物件を売却する際には、不動産取得税の負担や、帳簿価額と時価の差額に対して法人税が課される可能性があります。さらに、個人所有では受けられる3千万円の譲渡所得特別控除などの制度も適用外となる点にも注意が必要です(譲渡時の税務対応)。
投資法人としての節税設計と収支プランの策定ポイント
投資法人を設立するにあたっては、設立当初から運用開始後までを見据えた節税設計と収支プランの全体像を描くことが重要です。以下に主な視点を整理してご紹介いたします。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 法人設立・維持の費用 | 設立費用(法務手続き含む)や税理士報酬、法人住民税などのランニングコスト | 設立費用は株式会社で約25~30万円、合同会社で約6~15万円。年間コストに税理士費用20~30万円、住民税均等割は最低7万円ほどかかります。 |
| 収支シミュレーション | 法人化による税負担の変化や収益性の比較 | 個人所得税と比較し、課税所得が900万円を超えると法人税のほうが有利になるケースが多いことや、実効税率の違いも検討します。 |
| 設立から運用の流れ | 法人設立~融資・運用開始~税務対応までのステップ整理 | 法人設立後は金融機関に対する決算書の提出や税務申告のスケジュール、損失の繰越制度(最大10年)などを踏まえて流れを整えておく必要があります。 |
まず、法人化にともなう初期費用や年間の維持コストを明確に把握することが必要です。設立費用は、たとえば株式会社の場合で25~30万円ほど、合同会社では6~15万円程度が必要であり、さらに税理士への報酬として毎年20~30万円、そして法人住民税の均等割(7万円前後)などがランニングコストとして発生します。
次に、法人化による税負担の違いを収支シミュレーションで比較します。法人税は中小法人の場合、所得800万円以下の部分は15%、超過分は23.2%(実効税率として約23~30%)で推移する一方、個人の所得税・住民税は課税所得が900万円を超えると33%以上(住民税10%含めると約43%)となるため、利益規模によって法人のほうが有利になることがあります。
さらに、法人設立から運用開始、税務申告に至るまでの一連の段取りを明確にしておくことも欠かせません。専用の法人で損失が出た場合、最大10年間の損失繰越が認められる点は法人化の大きなメリットであり、計画的な収益見通しとの組み合わせで税負担を平準化できます。
上記の項目をもとに、設立コストと税メリット、運用までのスケジュールを一体的に検討することで、投資法人としての節税効果を最大限に生かす収支プランを策定することができます。
まとめ
法人による不動産投資は、節税効果と収益性の両面で多くのメリットが期待できます。経費として認められる範囲が広がることで税負担を抑えやすくなり、減価償却の活用によって資金繰りの安定化も図れます。また、役員社宅や保養施設としての利用は法人ならではの選択肢です。法人設立や運用には事前のシミュレーションと計画が重要ですが、基礎を押さえておけば安心です。不動産投資による経営の堅実な一歩を、ぜひ踏み出してください。
ここにご紹介したのはほんの一例です。少しでも法人の節税効果について興味を持たれた代表者様は「御所南不動産 代表取締役 中島 崇」へお気軽にご相談ください^^ 優秀な顧問税理士と全力でサポートさせて頂きます。